マイクロRNAの無限の
可能性を創薬に活かす

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マイクロRNAの無限の可能性を
創薬に活かす

マイクロRNA(miRNA、miR)が線虫で初めて報告されたのは1993年で、21世紀に入ってからヒトでもその存在が知られるようになり、現在では医学の分野でも研究が盛んに行われています。ヒトには数多くのmiRNAがみつかっており、それぞれのmiRNAが一群のコーディング遺伝子とネットワークを形成して、発生・分化・炎症・免疫・ストレス応答など多くの生命現象を司っています*。

miRNAは20~25塩基程度の非常に小さな核酸ですが、ときには細胞のidentityを決定する重要な役割を担うことも知られてきました。例えば、私どもが開発したmiRNA阻害技術「TuD/S-TuD」を使って上皮細胞中の特定のmiRNAの活性を抑制すると、上皮-間充織転換**が生じ、上皮細胞が間充織細胞の特徴を備えた細胞へと2週間ほどかけて変わっていきます。

miRNAの活性制御による上皮-間充織転換

miRNAの活性制御による上皮-間充織転換の図

発現制御型のTuDベクターで特定のmiRNAのレベルを13日間抑制すると上皮-間充織転換が誘導され、その後抑制を解除すると細胞は可逆的に上皮細胞に戻った。細胞は、E-cadherin(赤、上皮マーカー)、Vimentin(緑、間充織マーカー)、DAPI(青、細胞核)で3重染色されている。

これより、細胞の表現型は特定のmiRNAの発現レベルによって決定されることがわかります。同時にこれは、十年以上かけて開発を進めてきた「TuD/S-TuD」が、長期に渡って強力にmiRNAを阻害できる優れた技術であるからこそなしえたものです。

近年、細胞内における特定のmiRNAの異常な発現亢進が疾患を引き起こすことがわかってきました。本来の機能を逸脱したmiRNAを調節し、遺伝子制御ネットワークの乱れを整えることによって、これまでは治せなかった病気の治療が可能になるのではないだろうか?私どもは、アカデミアで育んできた「TuD/S-TuD」を用いて、この夢の実現をめざします。

miRNAは多彩な可能性を秘めています。これまでの研究の成果を医薬品という形で社会に還元することが、私どもの新たな使命です。

代表取締役伊庭英夫

* miRNAは、それと相補的な配列を持つ一群のメッセンジャーRNA (標的mRNA)を認識し、RNA干渉というメカニズムを使ってその分解や翻訳を抑制して、標的mRNAの発現を低いレベルに抑えます。
** 上皮-間充織転換(EMT: epithelial mesenchymal transition/epithelial to mesenchymal transition)は、生物の正常な発生において必須の過程ですが、癌の浸潤・転移などにも関与することが知られています。

MISSION

独自の遺伝子発現制御技術を用いてUnmet medical needsに挑戦する

医学、医療の進歩した今日においても、治療法の確立されていない病気が存在します。
当社代表らが東京大学および千葉大学で行ってきたmiRNA研究は、こうした病気の治療法を開発するための新たなアプローチを開く可能性を秘めています。
研究の成果を社会に還元し、この世界から「救う手立てのない病気」をひとつでもなくしたい。それが私どもの願いです。

社名には、miRNAの無限の可能性(X)を創薬に結びつけたいという思いをこめています。
会社ロゴでは、当社技術(=深い青色)で炎症(=赤色)を鎮めるイメージを表現しました。

SCIENCE &
BUSINESS MODEL

当社の2つのコア技術をご紹介します。
2つの技術に共通するキーワードは「炎症の制御」です。

CONTACT

社名 ミラックスセラピューティクス株式会社
(miRaX Therapeutics K.K.)
本社 〒101-0052 東京都千代田区神田小川町3-28-5 GOOGLE MAPへ
電話 050-1741-9720
MAIL contact@mirax-t.co.jp

代表取締役
理学博士

伊庭 英夫Iba Hideo

PROFILE

東京大学教授、千葉大学特任教授を経て現職。専門分野は、分子生物学、腫瘍学、ウイルス学。2005年頃から治療標的としてのmiRNAの魅力に惹かれ、一貫してその活性の阻害法を軸に研究を展開している。2010年にNF-κBとSWI/SNFクロマチン構造変換因子とを連結するDPF1/2/3タンパク質を同定してからは、これを標的とする治療法の開発にも注力している。
東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科終了(修士)、理学博士(東京大学)。
東京大学名誉教授、千葉大学客員教授。

取締役

虎見 英俊Torami Hidetoshi

PROFILE

米国監査法人、大手銀行などを経て、2008年からそーせいグループに参画。2009年から執行役副社長として経営管理、M&A、エクイティファイナンスやIRに従事する。その他にも複数のバイオベンチャーのマネジメントに携わり、資金調達や事業提携を成功させる。
The University of Southern California Leventhal School of Accounting卒業。

取締役
医師、博士(医学)

柄澤 麻紀子Karasawa Makiko

PROFILE

東京大学医科学研究所にてトランスレーショナルリサーチの支援・推進業務に従事する。また、厚生労働省の人事交流事業で医薬品医療機器総合機構(PMDA)にて抗癌剤や再生医療等製品の審査を経験。その後、医療ベンチャーに転籍し、経営企画、広報・IR、マーケティング等に広く携わる。
東京大学医学部卒業、東京大学大学院医学系研究科修了、博士(医学)、医師。

主任研究員
博士(理学)

原口 健Haraguchi Takeshi

PROFILE

RNA干渉を専門とし、標的miRNAを特異的に阻害する機能性核酸「TuD/S-TuD」の開発を行ってきた。近年はS-TuDを基盤とした核酸医薬の開発を目指し、薬物送達システム(DDS)の開発に注力している。
東京大学理学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了、博士(理学)。

研究員
博士(理学)

小林 和善Kobayashi Kazuyoshi

PROFILE

発癌および炎症にかかわる遺伝子発現制御ネットワークの解析を専門とする。RNA分析、タンパク質解析、エピジェネティクス解析、細胞生物学的解析にも習熟している。NF-κB阻害剤の開発において中心的役割を担う。
山梨大学工学部卒業、東京大学大学院理学系研究科修了、博士(理学)。